掲載しても応募が来ない!
応募は来るけど有効応募が少ない…
SES業界はとくに採用が難しく、思うように人材を確保できない企業も多いのではないでしょうか。採用課題を解消するためには、採用ブランディングによって自社で働く魅力を伝え、求職者から選ばれる企業になることが重要です。
本記事では、SES企業が採用ブランディングに取り組む際のコツや、よくある失敗と対策を解説します。応募数の低迷や早期離職にお悩みのSES企業は参考にしてください。
SES企業に採用ブランディングが必要な理由
エンジニアの採用難易度は年々増しており、2025年時点ではエンジニアの有効求人倍率は約12倍となりました(出典:doda「転職求人倍率レポート(データ)」)。多くの企業の中から自社が選ばれるには、求職者に「この会社は他とは違う」と感じてもらう必要があります。

とくにSES企業は応募が集まりにくく、自社で働く魅力を求職者に印象づけられる「採用ブランディング」が重要です。
ここからは、SES企業に採用ブランディングが必要な理由を課題背景とともに解説します。
- SES業界特有のイメージ
- 競合他社との差別化が難しい
- 早期離職率が高い
SES業界特有のイメージ
SES企業は「労働環境が不安定」「キャリアパスが見えにくい」など、マイナスのイメージを持たれやすい業界です。
そのため、自社開発や受託開発の企業と比較すると応募が集まりにくい傾向があります。ネガティブな先入観があると求人情報だけでは安心感を与えにくく、自社の実態を伝える採用ブランディングが欠かせません。
競合他社との差別化が難しい
SES企業は、エンジニアがクライアント先に常駐するスタイルが主流のため、業務内容や案件の種類での差別化が難しい特徴があります。結果として、求人情報が似たような表現になりがちで、求職者からは「どの企業も同じ」に見えてしまいます。
企業文化や育成方針、現場でのフォロー体制など、自社ならではの価値を採用ブランディングで伝えることが重要です。
早期離職率が高い
SES企業の採用課題として、早期離職が多いことが挙げられます。その理由の多くは、入社前の期待と入社後のギャップです。

出典元:エン・ジャパン株式会社「『就業前後のギャップ』に関する調査レポート」
採用ブランディングを正しく行えば、事前に企業文化や雰囲気を理解した上で応募してもらえるため、ミスマッチの防止につながります。
採用ブランディングは応募数の確保だけでなく、定着する人材と出会うための手段にもなるのです。
採用ブランディングとは?
採用ブランディングとは、企業で働く魅力を社内外に一貫したメッセージとして発信することで、「この会社で働きたい」と思ってもらえるブランドイメージを築く取り組みです。

採用ブランディングを実施すると、自社の価値観に共感した人材が集まりやすくなる点がメリットです。ターゲット人材からの応募増加や早期離職の防止、新入社員の即戦力化につながります。
採用ブランディングの基本は以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
SES企業ならではの採用ブランディングのコツ
SES企業が採用ブランディングに取り組む際は、自社の魅力をターゲットにどう伝えるかがポイントとなります。ここでは、SES企業が採用ブランディングを成功させるためのコツを手順に沿って解説します。
- 求職者のニーズを理解する
- 自社の強みを分析し、整理する
- ターゲット人材を明確にする
- 採用コンセプトを設計する
- ターゲットに合う媒体を選定する
- 発信を継続し、振り返る
求職者のニーズを理解する
採用ブランディングの戦略を立てる前に、求職者のニーズを理解する必要があります。
新入社員へのアンケートは、実際に転職を経験した人のリアルな声が得られ、具体性の高い情報源になります。また、競合分析や業界のイメージの把握など、市場理解も欠かせません。
求職者がどんな不安を抱え、どんな価値を求めているのかを知ることで、求職者の視点に合った訴求ができるようになります。
自社の強みを分析し、整理する
SESは業務内容での差別化が難しい業種です。自社ならではの強みが訴求しにくく、「高還元率」や「スキルアップできる職場」などの汎用的な表現が使われやすい傾向があります。
自社の魅力を分析する際は、会社全体を巻き込んだワークショップの実施がおすすめです。とくに現場のメンバーに参加してもらい、自社の強みや魅力を洗い出しましょう。
その際、「採用の4P」という枠組みを活用すると独自の強みが見えやすくなります。
採用の4Pは、以下の4つから成り立ちます。
- Philosophy:理念・目的
- Profession:仕事・事業
- People:人材・風土
- Privilege:働き方・待遇

制度や研修、キャリア支援、チームの雰囲気など、普段は語らないような当たり前の文化にも目を向けることがポイントです。
これらを整理した上で競合他社と比較し、自社ならではの魅力を言語化します。
ターゲット人材を明確にする
魅力を伝えるには、誰に伝えるのかを明確にする必要があります。未経験者・経験者・若手・中堅など、狙う人材によって響く言葉が異なるからです。
そこで有効なのがペルソナ設計です。求職者の年齢・キャリア・価値観・抱える不安・将来像などを具体的に描くと訴求軸が定まり、採用活動全体に一貫性が生まれます。
ターゲット人材を決める際は、実際に自社で活躍しているメンバーを基準に決めると現実性が増します。
採用コンセプトを設計する
採用コンセプトとは、自社の強みとターゲットとなる求職者のニーズをかけ合わせて生まれるメッセージのことです。
採用コンセプトは自社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に基づくもので、求人広告や採用ページ、SNS投稿など、あらゆる発信の軸となります。
自社の文化や制度にネーミングをつけ、「求職者にどうみられたいか」「自社で働くとどんなメリットがあるか」を言語化します。
ターゲットに合う媒体を選定する
発信する内容とペルソナが決まったら、どの媒体で伝えるかを決めます。
たとえば、SNSは媒体によってユーザー層や好まれる投稿の種類が異なります。ターゲット層に合わせた媒体を選びましょう。

SNSを活用した採用については以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
また、求人広告においても、自社コンセプトに合う媒体を選ぶことで母集団の質が変わります。ターゲットとの接点を意識した媒体選定が効率的な採用活動につながります。
SES企業におすすめの求人媒体は以下の記事も参考にしてください。
発信を継続し、振り返る
採用ブランディングは長期的な視点で取り組む必要があります。発信を継続し、反応を見ながら改善を重ねることで、ブランドイメージが定着していくからです。
そのためには、応募数やクリック率、SNSの反応数など、定量的な指標をあらかじめ設定しておくことが重要です。もし、思うような結果が出なかった場合は、前の段階に戻って見直しましょう。
数値の変化をもとに仮説検証を繰り返しながら、採用活動全体の精度を高めます。

採用ブランディングの詳しい手順は以下の記事で解説しています。
採用ブランディングでよくある失敗と対策
採用ブランディングに取り組む中で、つまずきやすいポイントがあります。ここでは、実際の支援現場で見たよくある失敗とその対処法を紹介します。
- 企業が伝えたいことを優先している
- 一貫性がなく、イメージ形成が不十分
- 発信内容と実際の職場環境にギャップがある
- 継続的な発信ができていない
企業が伝えたいことを優先している
自社の魅力を発信することに意識が向きすぎると、企業側の伝えたいことが先行し、求職者の視点が不十分なことがあります。自社にとっての強みであっても、求職者のニーズを満たしていなければ応募につながりません。
対策としては、「ターゲットは何に不安を感じているか」「どんな情報を求めているか」を意識し、求職者の関心軸と接点のあるメッセージにして伝えることが必要です。
一貫性がなく、イメージ形成が不十分
採用ページと求人票、SNSなどで言っていることがバラバラだと、企業としての印象が定着しにくくなります。採用コンセプトが不十分な場合やターゲットとなる人材像を具体的に設定していないケースで起こりがちです。
採用ブランディングでは一貫した発信が重要です。採用の土台となる採用戦略と、採用の軸となる採用コンセプトを定めた上で運用しましょう。
発信内容と実際の職場環境にギャップがある
発信している内容が魅力的でも、入社後に「実際は違った」と感じてしまえば、早期離職や不信感につながります。求職者に少しでも印象をよく見せたいという意識が強い場合や、現場とのすり合わせが不足していると起きやすい失敗です。
現場のメンバーを巻き込んだワークショップを実施して、自社の魅力だけでなくネガティブな要素も意見を出し合い、必要に応じて制度や体制を調整します。
継続的な発信ができていない
採用ブランディングは、短期的な施策ではなく、積み重ねによって効果が現れる取り組みです。コンテンツが数回で途切れると、企業としての印象も弱くなってしまいます。
継続のモチベーションを維持するには、反応の手応えが見えるデータを定期的に把握しておくことがおすすめです。たとえば、採用数だけで成果を測るのではなく、インプレッション数やクリック数などの中間指標も確認し、社内に共有しましょう。成果が数値として現れることで続けやすくなります。
株式会社RYOMAでは、採用ブランディングのやり方を解説した資料を無料で提供しています。すぐに役立つノウハウを豊富に掲載していますのでご活用ください。

採用ブランディングに取り組んだSES企業の成功事例
自社の強みの言語化により応募数2.3倍に増加した事例
A社は、SES事業を専門とする中小企業です。自社の強みが言語化されておらず、媒体ごとにメッセージが統一されていないことが課題でした。
そこで株式会社RYOMAは、ターゲット設定とMVVに紐づく採用コンセプトの設計を実施。社員を巻き込んだワークショップを通じて、職場の文化や働き方のスタイルを深掘りしました。「がんばらないで前に進めるちょうど良い会社」という自社らしさを明確化し、PRページや求人原稿にもコンセプトを反映。
訴求軸を統一した結果、4週間で42件の応募を獲得しました。さらに、内定承諾も1カ月で3件に達し、対面面接を希望するファン層の増加にもつながりました。
コンセプト再設計で内定承諾ゼロを脱却した事例
SES企業のB社は、15名に内定を出したにもかかわらず、承諾者が0名という課題を抱えていました。
株式会社RYOMAの調査で、採用メンバーが自社の魅力を十分に理解できていない点が根本原因であると判明。ブランド設計のためのワークショップを実施し、同社の強みである「つながりを大切にする文化」を「なんだかんだ帰りたくなる拠り所」という採用コンセプトとして再定義。さらに、ターゲットとなるエンジニア像を調整し、求人原稿・デザイン・スカウト文・選考時の伝え方を改善しました。
その結果、応募数は2.3倍に増加。魅力の訴求が統一されたことで自社の方針に共感した人材が集まり、内定承諾を獲得できました。
個性的なコンセプト策定で2名→78名へと急成長した事例
設立直後で市場での認知がなかったSES企業のC社は、採用に不安を抱えていました。ゲーム対戦をきっかけに2名を偶発的に採用できたものの、再現性や仕組み化に課題を感じていました。そこで、SES特化の採用支援サービスGrowSESに相談。採用ブランディングの再構築に着手しました。
RYOMAは、C社の強みである「オタク気質のエンジニアが集まり、好きなことを強みにできる文化」を言語化。採用コンセプトを定め、求人原稿・バナーのトーンを統一し、あえて尖らせた表現でターゲット層に深く刺さる発信へと改善しました。
また、求人広告の見出しやCTA導線を最適化し、代表が一次面談を行う導線も整備。アニソン部屋やゲーム部屋を設けた社内のカラオケ大会など、コミュニティ起点の体験づくりも採用導線に組み込みました。
その結果、月約6名の採用を継続できるようになり、採用単価を13万円に収める体制を実現。設立当初の2名から78名へと急成長を遂げました。

よくある質問
SES企業が自社らしさを出すには?
自社の魅力を分析する際は、会社全体を巻き込んだワークショップの実施がおすすめです。「採用の4P」から強みを整理し、制度や文化にネーミングをつけて言語化します。
思うような成果が出ないときは?
正しい手順で採用ブランディングを実施しても成果が出ないときは、MVVや採用コンセプトなどの土台部分を再構築します。その際、第三者の視点で見直すと精度が高まります。
株式会社RYOMAでは、採用ブランディングに関するご相談を承っています。
「実施したけどうまくいかなかった」という企業はもちろん、「何から始めればいいかわからない」とお悩みの採用担当者もお気軽にお問い合わせください。
採用マーケティングとの違いは?
採用マーケティングは応募獲得を目的とした戦術で、採用ブランディングは企業で働くイメージを構築する戦略です。

採用ブランディングと採用マーケティングの違いについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。
まとめ|ブランディングでエンジニアに自社の魅力を伝えよう
SES企業が採用を成功させるためには、自社ならではの魅力を言語化し、ターゲットに届く形で発信していくことが欠かせません。採用ブランディングを行うと、応募数の増加はもちろん、入社後のミスマッチ防止にもつながります。
とはいえ、「何から始めればいいかわからない」「発信しても成果につながらない」とお悩みの企業も多いのではないでしょうか。
GrowSES(グロース・エス・イー・エス)は、株式会社RYOMAが提供するSES特化の採用支援サービスです。採用戦略の設計から求人広告の作成、採用ブランディングの構築・運用まで、SES企業の現場に寄り添った支援を提供しています。採用活動にお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

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採用プランナー事業部責任者
担当プランナー影山 乃依
経歴
ディップ株式会社360人中新人賞、2社目中途採用企業で最速MVP
外資系SaaS教育企業/システム営業と人事を経験後(株)Nicopを設立しプランナー事業部立ち上げ支援を行う。







